こんにちは。カトヒレです。
2024年中に、25年勤めた警察を退職し、サイドFIRE生活に入ります。
在職中から一貫して思っていたことは、警察官の給料はとても高額だということです。
毎年1月に職場から渡される源泉徴収票には、自分の前年の年収が記載されています。
私の昨年の年収は、909万円でした。
私は巡査部長という主任相当の役職で、全然出世しているわけでもありません。
同期生と比べても、むしろ落ちこぼれの部類です。
40代後半の、落ちこぼれの職員がこれだけの給料をもらえるわけです。
40代後半で年収909万円というのは、上場企業と同じレベルの給料です。
上場企業とは、自社の株式を証券取引所に上場して、市場で株式の売買が行われる会社のことです。
厳しい上場審査基準を満たした、ほんの一部のエリート企業。それが上場企業です。
日本には会社が270万社もあり、上場企業はそのうちわずか3800社ほどです。
労働市場も、需要と供給のバランスで賃金が決まるという考え方があります。
一般の警察官が、上場企業のサラリーマンと同等のビジネススキルがあるとは思えませんが、給料が高いからには、それ相応の理由があるはずです。
それは、誰もやりたがらない仕事なので、我慢料としての給料が高いということです。
出所 ハコヅメ
警察の仕事は、外部の人からの嫌われ具合も中々ですが、内部の組織もストレスフルです。
在職20年以上のベテランでも心を病んで休職する人や、独自の組織文化についていけずに一日で退職する若手など、馴染めない人にとっては、とことん馴染めない職場です。
上下関係が異常に厳しく、指揮命令系統が軍隊式で、リベラルな雰囲気とは程遠いです。
でもそれは、警察という業務を遂行する以上、必要な組織風土でもあります。
人の命が掛かる、あるいは、臨場する警察官にも身の危険が及ぶような任務を果たすには、素早い意思決定が必要になります。
みんなで議論して、良さそうな選択肢を選ぶという時間的な余裕などありません。
議論などしていては、意思決定もできず、指揮命令系統もメチャクチャになってしまうので、上意下達の組織風土にする必要があるんだと思います。
上の命令は絶対、それは警察組織には必要な組織風土だということです。
外部の一般の人からは、サンドバック扱い。
内部の警察組織では、ストレスフルな絶対服従。
この過酷な勤務環境を乗り越えたご褒美が、高額な給料だということです。
今日は、厳しい労働環境の警察官の
・給料やボーナスの推移について
・給料は不況と関係があるのか
・警察の給料は我慢料であること
これらについて、書いてみたいと思います。
警察官の給料は、年功序列
警察に採用された当初、私はお金に対する意識が低く、給与明細なども捨てていました。
今となっては、当時の給料やボーナスの額、引かれる税金や社会保険の金額も調べようがないです。
ここ15年くらいは、給与明細などを取っておくようにしました。
給与明細は、自分の過去の歴史を振り返ることができる、重要な資料です。
15年分なので、結構な厚みの資料になっています。
給料は、自分の人生の時間をお金に変換して得られた対価です。命を削って得た対価の記録は、絶対に残しておくべきです。
就職10年目以降の給与明細は、残っているので一覧にしました。
基本給の伸び方
これを見ると、給料のベースとなる基本給は、年を追うごとに確実に伸びて行っています。
10年目から25年目までの階級は、ずーと巡査部長で変化はありません。
伸び幅は、若い時期ほど大きく、年を追うごとに鈍化していきます。
10年目は、28万1400円
11年目は、29万1800円
この間は、基本給が1万円以上増えています。
24年目は、38万2800円
25年目は、38万4800円
この間の基本給は、2000円しか増えていません。
この感じだと、基本給の上昇は30年目くらいで止まり、後は定年まで横ばいで推移しそうです。
基本給は、役職と年数で決まるので、個人の頑張りで上げることはできません。
若いうちは、どんなに頑張っても年長者の給料より多くもらえることはありません。
年数を重ねると、どんなに使えない人材でも、若手の給料を大幅に上回ります。
警察の給料は、年功序列なので、個人でどうすることもできません。
ボーナスの伸び
ボーナスも年を追うごとに確実に伸びていっています。
勤続20年目には、100万円に近い水準になっています。
警察のボーナスは、基本給の4.45カ月分とされています。
それが、春と夏の2回に分けてもらえるので、それぞれ2.225カ月分となります。
ボーナスの伸びも、基本給に応じて決まるので、こちらも年功序列です。
若手職員が、おじさん職員のボーナス額を知った時、愕然とするのは警察アルアルですね。
ボーナスは、世の中の経済事情によって、支給額が調整されやすいです。
2020年にはコロナショックによる不況があり、民間企業でもボーナスカットされた会社が多くありました。
警察などの公務員に対する影響は、すぐには起こらず、タイムラグがあります。
私の場合は、2021年のボーナスが減額されています。
この年は、前年より基本給は伸びているものの、ボーナスは減額されています。
不況により調整されやすいのは、基本給よりもボーナスということです。
超過勤務は、時給1000円?
私は13年目から、駐在所勤務を10年間やりました。
駐在所勤務は、残業時間が多くはないので、超過勤務手当も低いです。
毎月の残業時間は20時間くらいで、もらえる超過勤務手当は4~5万円でした。
残業時間の多い、刑事課や交通課などの専務警察をやると、超過勤務手当は高くなります。
そのような部署で働けば、超過勤務手当が12~13万円くらいになります。
超過勤務手当が毎月8万円違うと、年収の差は100万円になります。
ただ、のんびりと勤務できる駐在所勤務と、激務の専務警察の年収の差が、たった100万円と考えることもできます。
専務警察は毎月100時間近くの残業をこなすのに対し、駐在所の残業は毎月20時間くらいです。
80時間の残業時間の差による手当の差が8万円とすると、時給換算すると1000円になります。
残業時間と超過勤務手当の関係は、働く部署やその人の基本給によりケースバイケースです。
一度、自分の残業時間と支給された手当から、時給を計算してみるのもいいでしょう。
警察官の給料は、不況とは無縁なのか
公務員は、不況に強い、不況とは無縁と言われますが、実際はどうなのでしょうか。
私の場合、10年目から25年目までの基本給は、ずーと上がり続けていますが、伸び幅は一律ではありません。
一年で3万円近く伸びる年もあれば、1300円しか伸びていない年もあります。
私の場合は、2012年から2013年にかけて、基本給が2万8000円も上がっています。
これは、2011年の東日本大震災の影響です。
2012年には、東日本大震災復興財源確保の関連法により、公務員の給料は平均7.8%減額されています。
2012年に低く抑えられていた基本給が、2013年に通常に戻ったということです。
その後、調整の関係か、2014年と2015年は基本給が1300円しか伸びていません。
伸び幅に多少の凸凹はあるものの、基本給および総支給額である年収は、ずーと伸び続けています。
私の在職中の25年間に、ITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、コロナショックなどの経済ショックが発生しています。
それでも、全体を通して給料が増額しているのは、若い時期の定期昇給の幅が、不況による減額幅を上回ったということだと思います。
実際の給料の推移を見てみると、「警察官は不況とは無縁ではないものの、不況時でも若干の給与調整に留まる。」ということだと思います。
警察官の給料は我慢料
ここまで見てきたように、警察の給料水準は、十分に高いです。
日本のトップ企業とは言えないまでも、平均的な上場企業のサラリーマンと同等の給料をもらえてしまいます。(トップ企業は東京エレクトロンで、年間ボーナス516万円です)
就活も極めて楽で、エントリーシートを何十枚も書く必要はありません。
民間の就活だと、大学名だけで、エントリーシートの内容も見ずに跳ねられてしまうと聞きます。
警察の場合は、受験の申し込みをすれば、誰でも受験することができます。
そして、それほど難しくはない、筆記試験と面接に受かれば、採用してもらえます。
柔道・剣道の有段者じゃないといけないというイメージもあるかもしれませんが、採用後の警察学校時代に練習すれば大丈夫です。
それは、やりたい人が少ないからです。
冒頭の人気警察マンガ、ハコヅメにもあるように、警察の仕事はサンドバックみたいなものです。
外部の人から嫌われ、組織内部はコチコチに硬直しています。
警察組織で働くことは、肉体的にも精神的にも負担が大きいです。
警察の給料の高さは、そんな職場環境に対する我慢料みたいなものだと思います。
仕事のモチベーションを保つのが難しい
あくまで私の印象ですが、警察で生き生きとしながら仕事をしている人は、とても少ないと思います。
多くの人が肉体的、精神的にくたびれた状態で仕事をしているように見えます。
私自身、何年もモチベーションが低い状態で仕事をしています。
この先仕事を続けても、つまらなそうに仕事をしながら定年を迎える、自分の未来が見えてしまっています。
つまらない未来から脱出するため、セミリタイヤを目指し、こんなブログを書くようになりました。
私が、警察で働いていて、モチベーションが上がらない理由を考えてみました。
・組織が縦割りで、自分の意見が全く反映されない
・仕事をやればやるほど、外部の人に嫌われる
・誰の役に立っているかわからない仕事を、組織のためにやらされることが多い
・上下関係が強すぎるので、変な上司にあたると地獄
・公務員なので、まじめな人が多いが、学びを得られるような人は少ない
・仕事ができてもできなくても給料が変わらないので、スキルアップする気にならない
・仕事をやってもやらなくても、給料が変わらない
・仕事をやらない人の分を押し付けられると、こっちもやる気がなくなる
・自分が仕事を片付けると、次の仕事があたえられるので、わざとゆっくりやるようになる
・人事評価の基準が意味不明
この状況でやる気を出すのって、結構きつくありませんか?
私の場合は、こういう環境で頑張るのがきついです。
思考停止になりやすい職場環境
そして、このような職場では、仕事のやり方を工夫したり効率化することを求められません。
個人が、仕事のやり方についての意見を組織に上申しても、採用されることはまずないです。
業務を効率化することで、コスト面での改善を図っても、喜んでくれる人がいないんですね。
一緒に働く上司はもちろん、任命権者である県警本部長も、経営者(社長)ではないです。
無駄なコストを垂れ流したところで、警察が経営難に陥ることはありません。
経営者は、コストに敏感じゃなければとても務まりませんから、部下にもコスト意識を徹底させます。(コスト意識のない会社は、遅かれ早かれ潰れるでしょう。)
警察には、経営者が存在しないので、コスト意識を持った人がいません。(強いて言うなら、公務員の経営者は税金を払う国民でしょう。コストカットがされれば、より少ない税金でより良いサービスを受けられるので、公務員の経営者は国民と言えるかもしれません。)
コスト意識を持つ人がいないので、新しい発想や提案は求められず、前例踏襲の思考停止の環境で仕事をしなければならないんですね。
そうすると、どんどん精神的に職場に対する依存度が強くなって、転職するという選択肢が消えていきます。
そして、年数と共に給料は上がり続けます。
高い給料を捨てるのが惜しくなり、警察にしがみつくだけの思考に陥ると思います。
長くいるほど転職が難しくなる
転職するには、年齢が若いほど有利になります。
学校を卒業したての新卒が、労働市場で最も就職がしやすい立場になります。
20代後半で転職を試みるなら、第二新卒して扱われ、新卒に準じた扱いをされます。
そして、30代になると、即戦力として何ができるかを問われるようになります。
年齢を重ねるほど、「今まで何を経験してきて、何ができるのか」ということを問われるようになります。
警察の仕事で身に付くスキルで、他業種で生かせるものはほとんどありません。
厚労省が定める、転職の際に重要な要素にポータブルスキルがあります。
ポータブルスキルとは、1つの職場でだけで通じるスキルではなく、他社に行っても使える汎用性の高いビジネススキルのことです。
出所 厚労省HP
ポータブルスキルとは、自分で考えながら仕事をすることで身に付くものです。
上からの指示に従うだけで、自分の考えを持たずに仕事をしても、絶対に身に付かないものです。
警察で仕事をしていると、これらのスキルを養うのは難しいです。
警察で長く仕事をするほど、警察以外では通用しない人間が出来上がっていきます。
転職できないリスクというのも、警察の給料の我慢料の要素の一つだと思います。
最後に
警察官を25年やってきた、私のボーナスや給料の推移などを見てきました。
記事中の表をみればわかるように、給料は年功序列で決まります。
基本給については、若い時期の伸び幅が大きく、20年目以降は伸びが緩やかになります。
ボーナスについては、20年目に99万円に達して以降、ほとんど伸びていないので、100万円が上限なのかもしれません。
そして、警察の給料は、過酷な勤務環境に耐えることに対する我慢料だと思います。
・仕事内容は、サンドバック。
・組織内部は上意下達なので、ストレスフルになる。
・思考停止になり、転職などもできにくい。
これらの環境に耐えることで、高額な給料がもらえます。
この環境が全く苦にならない人なら、迷わずに定年まで警察を続けることができるでしょう。
定年まで警察を続けるなら、資産形成などをする必要もないかもしれません。
私は、自分が警察に向いていないという自覚があったので、10年前からセミリタイヤを目指して行動してきました。
私と同じように、警察組織での仕事がキツイと思うのであれば、蓄財はしておくに越したことはないと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
いつもためになる記事をありがとうございます。
今回の記事は、私も同じことを感じていたので、自分に重ねて読んでいました。
最近、私も過去全ての給料明細をバインダーにまとめていて身近に感じました。
1年目から6年目までの明細は残っていませんでしたが・・(捨てた事を後悔してます😭)
給料は我慢料・・正にその通りだと思います。私も、この仕事や職場環境に向いていないのではと悩みながらも、家族のためと20年以上続けてきました💧
投資や節約も40歳から始め、お金の知識に気づくのが遅かったので、カトヒレさんの様な早期リタイヤは無理かもしれません。
しかし、60歳までには経済的自由を達成して、いつ辞めても困らない状態にしたいので、目標に向けて日々の仕事を頑張りたいと思います。
追伸
おかげさまで保険をかなり整理することが出来ました。
※妻名義の外貨建て(豪ドル)個人年金保険が残っていますが・・協議中です💧
いろいろアドバイスいただき、ありがとうございました‼️
ミアキスさん。
この仕事を20年以上やると、警察組織の酸いも甘いも、味わい尽くしますよね”(-“”-)”
自分の給料の高さを自覚したときには、既に転職が効かない時期になるというのも、罠めいてますよね。
給与明細、7年目以降は取っておいてあるんですね。
自分の人生を捧げた奇跡なので、私は墓場まで持っていきます(笑)
私も、投資を始めたのは39歳だったので、それほど変わりませんよ!(^^)!
投資で成果を出すには時間が必要なので、日々の仕事を頑張りながら、コツコツと資産を育てていくのが成功の王道だと思います。
保険、かなり見直しが進んだようですね。
素晴らしいです!(^^)!
外貨建て保険は、否定的な意見の人も多く、私もその一人です。
しかし、契約者の思い入れの問題と、損得が不確定なこともあり、意見する側の持論の押しつけにならないように気を付けたいですね。
ただ、今は歴史的な円安なので、解約して投資に回す資金にするというのも選択肢の一つだと思います。
丁寧なコメント、ありがとうございました!(^^)!
お疲れ様です。
私もやり甲斐が見出だせません。
何故続けているかと言えば、単に家族を養うためです。
仕事を当たり障りないように粛々とやっています。
特に本文中の
「誰の役に立っているかわからない仕事を、組織のためにやらされることが多い」が滅茶苦茶共感できます。
交通安全運動が最たる例でしょうか。
各署で取締件数を競い合って、結果交通事故が減るかと言ったらそうでもない、組織の自己満イベントだと感じています。
広報で山のようにチラシを配っても市民からしてみれば右から左に抜けていくだけだと感じています。
私達が道端で企業のチラシやティッシュを受け取っても記憶の片隅にも残らないのと一緒です。
特殊詐欺の被害や未遂の相談が減らないのがその証拠だと思います。
私は子供の学費の目処がある程度ついたら身の振り方を考えていきたいと思ってます。
正直定年まで続けるような魅力は感じられません。
某県警察官さん。
警察の仕事で、モチベーションを保つのは、かなり難しいですよね。
組織が大きすぎるので、自分の仕事が誰の役に立っているのかわかりにくくもなってきます。
定年まで警察を続けるのも大変ですが、その定年も徐々に伸びつつあります。
60歳以降も警察を続けるのかの選択肢は、自分で持っておきたいですよね。
いつもブログ拝見しております。
毎度、更新楽しみにしています。
私は某県で警察官をして5年目になります。
3年目くらい自分にこの仕事は向いていないと気づきました。
ただ、上司から給料の話を聞いていると続けることが勝ちなのかなと思い、今はモチベーション低く仕事をしています。
特に転職に活かせる資格もないため、若いうちに辞めるのはもったいなく思っています。笑
カトヒレさんを参考にして貯蓄、投資に励み早期リタイアを目指しています。
目指せ50代リタイアです。笑
交通課さん。ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
警察官5年目で、交通課で勤務されているのでしょうか。
警察の給料は、年功序列なので、若いうちに辞めるともったいないかもしれませんね。
私も仕事のモチベーションが上がらない状態ですが、気づけば25年になってしまいました。
我慢できないほど嫌なわけでもないので、後悔はしていませんが。
おかげで、50歳でセミリタイヤできるだけの準備ができそうなので、職場には感謝しています。
交通課さんは若いので、45才くらいでもセミリタイヤできるかもしれませんね。