公務員の職場。安定していて、リストラもないが、心を病む人が多いことについて。

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警察官の給料、税金などについて

こんにちは、カトヒレです。

 

私は40代後半の警察官ですが、今後数年先まで昇給が見込めると思います。

おそらく、52~53歳くらいまで昇給を続けて、その後は給料をキープしたまま定年まで行けると思います。

私の職場の人は、それを当然と考えているようですが、民間の企業はそんなことはありません。

民間の場合、年齢や勤続年数に応じた定期昇給は、縮小傾向にあります。

企業のグローバル化が進む中、仕事の成果に対する報酬体系が浸透してきており、従来型の報酬体系にとって代わりつつあるんですね。

長い年数仕事を続けていれば、黙っていても給料が上がっていくという時代はいづれ終わりを迎えることになるのでしょう。

 

そして、民間企業ではリストラもあります。

最近では大企業でも、大量のリストラが始まっています。

2019年には、損保ジャパンスキームと言われる、合法的リストラ策が、転職業界では話題になりました。

大手損保会社が、介護の会社を買収する。

そこに自社のリストラ対象の職員を部署異動させる。

「介護職をやりたくないなら、自主退職してくださいね♡」と追い込むわけです。

日本の民間企業は、無駄な人員を養うだけの余裕がなくなってきているということです。

一方、公務員にはリストラは、ほぼありません。

公務員は、国家公務員法、地方公務員法で、その身分が保証されています。

「本人の意思に反する地位の変動」を法律で制限されているわけです。

財源が厳しかろうが、人員が余っていようが、能力的に低い人だろうが、自分から辞めると言わない限り、辞めさせられることはないということです。

警察でも、不祥事で辞めさせられる人はたくさんいますが、仕事ができなくて辞めさせられた人は、聞いたことがありません。

どんなに使えない人でも、自分から辞めると言わない限り辞めさせられることはない。

どんなに怒られても動じることがない、鈍感力こそが最高のスキルの職場です。

公務員の職場は、

・給料は減額されない

・使えなくても、リストラされない

・倒産リスクも全くない

本当に恵まれた職場環境だと思います。

しかし、公務員の職場環境は恵まれているのに、心を病んで休職などする職員が多いです。

 

今日は、

・公務員であること待遇面でのメリット

・なぜか心を病む人が多い理由

これらについて、書いてみたいと思います。

公務員は、給料減・倒産のリスクがない

公務員の給料は人事院勧告というもので、民間の水準に合わせられていくものの、それは民間全体の水準です。

業績が悪くて、給料が減らされている企業の水準ではないんですね。

日本の企業群が、国際的な感覚で見て、じわじわと衰退していくのはほぼ確実だと思います。

時代の流れはどんどん早くなっていて、世の中のニーズをつかめない会社は存続が危ういです。

今後は、株式を上場している企業でも、給料が減らされる企業がどんどん出てくるでしょう。

安定が最大の強みである会社員にとって、給料が減らされるのはクビの次に悲しいことですよね。

安定した給料を前提にした住宅ローンの支払いも、滞ってしまうかもしれません。

当たり前のことですが、会社員が勤める会社は、基本的には一社です。

リスクを分散するために、数十社とか数百社とかに就職することはできません。

自分が所属している一つの会社の業績に、自分の運命を共にすることになります。

会社の業績が悪ければ、給料を減らされることもあるし、最悪の場合は倒産する恐れもあります。

会社員は、自分の会社の個別リスクを避けることはできないんですね。

 

その点公務員は、個別の自治体のリスクは、会社員よりはるかに低いです。

自治体の財政が厳しいから公務員の給料が大幅に減らされたり、財政破綻して失職するという可能性はかなり小さいです。

ひとつの市や県が潰れそうになって、国の支援が入らないなんてことがあるのでしょうか?

水道から水が出ない、道路が陥没してもほったらかし、公立の学校がすべて廃止、警察や消防を呼んでも来ない。

こんな自治体を、国が放っておきますかね?

そんなことをしたら、すでにその自治体に住んでいる人たちは、生活できなくなります。

強権国家であれば、国策のために少数の国民を切り捨てるような政策をすると思います。

しかし、日本の民主主義が、弱者を切り捨てるようなことをするとは思えません。

人口減少が著しい地域で、インフラを維持することが、財政的にどんなに非効率であっても、切り捨てるようなことはしないと思います。

そう考えると、衰退する自治体でも、国が可能な限り支え続けると思います。

そして、そこに採用されている公務員の給料減額や失職のリスクもかなり低いです。

ひとつの自治体がつぶれて、国の支援が入らないときは、日本全体が沈没している状態だと考えられます。

そう考えると、公務員になることは、日本全体に就職したと考えることもできると思います。

・公務員の給与水準は人事院で決まるので、日本企業全体の平均の水準と考えることができる。

日本企業全体が公務員の給料水準であるので、上方・下方リスクが限定的である。

・公務員になることは、日本企業全体に就職したことになるので、倒産リスクもない。

カトヒレ
カトヒレ

これって、市場平均に投資をする、インデックス投資みたいじゃないですか?

公務員にリストラはほぼない

民間企業はリストラが進む

新卒で大企業に就職すれば、一生安泰という時代は、とっくに終わっています。

日本を代表する大企業のトヨタ自動車の社長が、終身雇用を維持できなくなっているという発言をしています。

実際に、2020年から、大企業でのリストラが始まっています。

三菱UFJFG、8000人の人員削減

三井住友FG 本部役員3割減

パナソニック 退職金4000万円上乗せの早期退職募集

JTB 6500人の人員削減と年収3割カット

ANA 3500人の人員削減と年収3割カット

報道をみるだけでも、名だたる大企業がリストラを断行しています。

リストラの対象は、給料が高い40歳以上の職員が中心です。

企業としては、年数だけ重ねたことにより、高い給料をもらいながら、生産性の低い、働かないおじさんを雇い続ける余裕はないということです。

働かないおじさんに給料を支払っている余裕が、日本企業にはもうないということです。

これからの時代は、仕事の成果に見合った欧米式のジョブ型雇用が主流になることでしょう。

仕事に対する評価が明確で、それに見合った給料が支払われる働き方です。

仕事に対して報酬が支払われるので、在職年数が長いからと高い給料が支払われるわけではありません。

仕事の成果を出せなければ、同じ会社に居続けるということはできなくなります。

本当に、民間で働く人は大変だと思います。

公務員にはリストラはない

さて、我々公務員にはリストラはないのかというと、ほぼないと言っていいです。

制度上、公務員のリストラとして、分限処分というものがあります。

それに対して、犯罪行為などの悪いことをして処分されるのは懲戒処分です。

カトヒレ
カトヒレ

仕事ができなくて辞めさせられるのが、分限処分です。

悪いことをして辞めさせられるのが、懲戒処分です。

悪いことしてクビになるのは、仕方のないことですし、弁解の余地もありません。

それに対して、分限処分は、仕事をやらない、若しくはやる能力がないことによる処分です。民間企業でいうところのリストラは、公務員だと分限処分に当たります。

その分限処分が、一年間にどのくらいの件数があるのかということを、総務省が発表しているんですね。

 

出典 総務省

この資料によると、平成30年度に都道府県、政令市、市町村、事務組合、広域連合に属するすべての職員を対象に調査したところ、分限で免職になった人数は、248人ということになります。

全国の国家公務員は約60万人、地方公務員は270万人くらいなので、割合で考えると極めて少ないです。

公務員は、日本全体で300万人以上います。それに対して、仕事ができない、若しくはやらないという理由で免職になる人が年間で248人って少なすぎます。公務員には、ほぼ、リストラがあり得ないと言い切っていいと思います。

公務員は心を病みやすい

リストラでクビになる(分限処分で失職する)人が248人しかいないのに対して、心身の故障による休職者がその100倍の25,000人に上ります。

安全管理が徹底した公務員の仕事でけがをすることは極めて稀なので、ほとんどが精神疾患と思われます。

ストレスが多い職場環境なので、心が病んでしまう人が多いんでしょうね。

警察も鬱になる人が多いですが、学校の先生も心を病む人が多いと聞きますからね。

ご存じの通り、公務員のノルマは、民間に比べれば厳しくはありません。

ノルマをこなせなくても給料は減ることはないし、クビにもなりません。

経営不振や倒産のリスクがないので、管理職もガンガンと下っ端に追い込みをかけることはないんですね。

分限処分で免職になる人の少なさが、それを表していると言えます。

なぜ、そこまできつくはないのに、心を病んでしまう人が多いのか?という疑問が生じます。
それについて、私なりに考えてみました。

仕事や組織に面白みを感じられない

私自身が考える、公務員の仕事が面白くないという理由です。

もちろん、公務員の全員が感じることではないと思いますし、感じたとしても無視できるレベルの問題だという人もいると思います。

・組織が縦割りで、自分の意見が全く反映されない

・誰の役に立っているかわからない仕事を、組織のためにやらされることが多い

・上下関係が強すぎるので、変な上司にあたると地獄

・公務員なので、まじめな人が多いが、面白い人は少ない

・仕事ができてもできなくても給料が変わらないので、スキルアップする気にならない

・仕事をやってもやらなくても、給料が変わらない

・仕事をやらない人の分を押し付けられると、こっちもやる気がなくなる

・自分が仕事を片付けると、次の仕事があたえられるので、わざとゆっくりやるようになる

・人事評価の基準が意味不明

私が思いつくだけでも、ネガティブな要素がこのくらいありますね。

この状況でやる気を出すのって、結構きつくありませんか?

私の場合は、こういう環境で頑張るのがきついです。

まあ、これらのネガティブな要素を打ち消すくらいの熱意を持って、仕事をしている職員も大勢いるのも事実です。

思考停止の環境で働くので、職場への依存が強くなる

そして、このような公務員の職場では、仕事のやり方を工夫したり効率化することを求められません。

個人が、仕事のやり方についての意見を組織に上申しても、採用されることはまずないです。

業務を効率化することで、コスト面での改善を図っても、喜んでくれる人がいないんですね。

一緒に働く上司はもちろん、任命権者である県知事や県警本部長なども、経営者(社長)ではないです。

経営者は、コストに敏感じゃなければとても務まりませんから、部下にもコスト意識を徹底させます。(コスト意識のない会社は、遅かれ早かれ潰れるでしょう。)

公務員の職場には、経営者が存在しないので、コスト意識を持った人がいません。(強いて言うなら、公務員の経営者は税金を払う国民でしょう。コストカットがされれば、より少ない税金でより良いサービスを受けられるので、公務員の経営者は国民と言えるかもしれません。)

コスト意識を持つ人がいないので、新しい発想や提案は求められず、前例踏襲の思考停止の環境で仕事をしなければならないんですね。

このような環境に長くいると、自分で物事を考える習慣がなくなります。
自分で考えるよりも、言われたとおりにやれば怒られないので、そっちの方が楽ですからね。
そうすると、どんどん精神的に職場に対する依存度が強くなって、転職するという選択肢が消えていきます。
強い依存心というのは、健全な精神状態ではありません。
付き合っていた彼氏彼女から、別れ話を切り出されるのは、ショックな出来事でしょう。
そのとき、「あなたなしでは、生きていけない。〇んでやる!」という人は、依存心が強すぎます。
恋人との別れは、ショックでしょうが、自分と恋人は別の人間です。
考えが合わなければ、別の人生を歩むべきなんです。
職場選びも同じことで、「この職場でなければ生きていけない。」という精神状態は、健全ではないと思います。

経済的にも転職できなくなる

公務員の給料は、大きく変動することはありません。
勤めた年数や役職により、号給が決まっています。
民間のように業績の悪化により、給料が減ることはありません。
将来にわたって、確実に約束された給料をもらうことができます。
こういう感覚は、将来の給料が約束された既得権益となりやすいです。
定年までの給料は、約束された権利に思えるということです。
このように、恵まれた給与体系であるせいか、公務員は多額のローンを組む人が多いです。
私の職場でも、4000万円くらいの住宅を購入する人が多いです。
公務員を定年まで続ければ、返済は問題ないのかもしれません。
しかし、途中で転職すると、返済するのは困難になります。
公務員として、年功序列で上がり続ける給料を前提として、ローンを組んでいるからです。
多額のローンを組むと、給料が下がる転職はできなくなります。
どんなに仕事がつらくても転職するという選択肢がない状態は、精神的なゆとりがない状態です。
背水の陣で戦っているようなものなので、かなり強いストレスを感じるはずです。
このように、公務員は、
・面白みを感じにくい
・精神的・経済的にも職場に依存している
要は、仕事は嫌いなのに、別れることができない。
この矛盾した感情が、心が病む人が多い理由ではないかと思います。

最後に

ここまで、公務員は、

・給料が市場平均並みで、そこそこもらえる

・会社が潰れない

・リストラされない

というメリットを中心に書いてきました。

そして、一部の民間企業にあるような、完全にブラックな職場環境というのも少ないと思います。

小規模な民間企業だと、労働法を守らずに、労働者を搾取して使い捨てるような企業も存在します。

労働者を奴隷のように長時間労働をさせておきながら、残業代を払わない会社もあります。

警察でも、刑事などをやっていると、時間的拘束はかなりブラックですが、福利厚生と給料はしっかりもらえるので、完全なブラックではないです。

完全ブラックな職場に当たらないのも、公務員のメリットですね。

 

そして、公務員のデメリットとしては、組織と仕事が単調で、面白くないということです。

そういう環境で仕事をしていると、依存心が強くなって、転職という選択肢もなくなります。

そして、精神的なゆとりをなくして、心を病む人が多いということです。

割合でいうと、全体の1%の職員が精神疾患で休職しているって、結構すごいことだと思います。

このようなメリット・デメリットがありますが、自分に向いていると思うなら公務員になればいいし、向かないと思うなら、公務員にはならならない方がいいでしょう。

当たり前の話かもしれませんが、公務員を24年やってきた私の実感ですね。
自由テキスト

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. のこのこ より:

    休職制度等が民間よりも整っているというメリットが休職者の数を増やしている要因の一つかなと周囲を見渡していて感じます。

    • katohire katohire より:

      のこのこさん、ありがとうございます。

      公務員の休職制度は、手厚すぎると思いますね。
      制度を利用して、ずるくやる人もいますね。

      休職制度はメリットでもあり、度が過ぎつとデメリットにもなると思いますね、

  2. ノコノコ より:

    給与明細等を概算ではなく開示されている珍しい興味深いブログなので、定期的に閲覧しております。
    私の周りでも、公務員の給与は民間の平均で決定されるから、公務員が下がる=民間もそれと同等もしくはそれ以上に下がるからという、意見を思っている人が居ます。
    別にそのように思うのは、悪くないと思うのですが、一方で現状は50名以上の企業の平均を取って決定されているので、これが1名以上など、株式市場でいう、採用銘柄の変更等が今後発生するのではと私は危惧しております。この場合、平均だけが下がる可能性があるかと。この点に関して、あなたはどのように思われますか?

  3. katohire katohire より:

    ノコノコさん、コメントありがとうございます。

    公務員の給料の決まり方について、専門的な見解は持ち合わせていないので、はっきりしたことは、わかりません。

    ただ、民間に比べて、上がる時もゆっくり、落ちる時もゆっくりと落ちていくものだと思っています。

  4. にゃん より:

    『どんなに怒られても動じることがない、鈍感力こそが最高のスキルの職場』
    まさにこれ、わかります…。
    このスキルがある人は、本当にあらゆることで得してますよね。羨ましいとは思いませんが…。

    • katohire katohire より:

      にゃんさん。
      鈍感力は、公務員最強のスキルだと思います(≧▽≦)
      強烈な鈍感力を発揮すると、周りが諦めてフォローに回るんですよね。
      それが許される職場なら、最強のスキルだと思います。

  5. kiku より:

    はじめまして。
    私は元千葉県警察官として9年勤務していましたが、色々考えるところがあり退職してしまいました。

    今は全く違う仕事をしています。
    給料は社会的信用は大企業並みにあると辞めてから実感しました。

    警察官を退職してからはほぼ警察関係者の方とは連絡を取らなくなりました。

    警察官時代は組織にしがみついている人や休職している方を多くみました。

    また向上心がない方や思考停止をしている方も多くいました。

    私自身も警察官として働いており、
    向上心がなくなってしまい、警察組織に嫌気がさしてしまい、安易に退職してしまいました。

    今思えば退職以外のもっとなにか違う選択ができたのではないかとも考えています。

    公務大変かと思いますが、お身体に留意していただければと思います。

    もしかしたら一緒に勤務していたのでないかとも思い、コメントさせて頂きました。

    長文、乱文失礼致しました。

    • katohire katohire より:

      kikuさん。
      コメントありがとうございます。
      千葉県警で9年間勤務されていたんですね。

      警察官の給料は高く、それに合わせた生活に慣れてしまうと、辞めるにやめられなくなってしまいますね。
      特に、高額な住宅を購入して、心身を壊しても仕事にしがみついてしまう人を多く見かけます。
      向上心やモチベーションを下げずに仕事ができればいいんですが、それも難しい環境でもありますね。

      kikuさんも、お体に気を付けてくださいね。

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