こんにちは。カトヒレです。
私は、ある県の警察官を25年やっています。
今から約10年前、FIREという価値観に感銘を受け、それを実現するために行動してきました。
金融資産の投資や生活費の節約などを勉強しながら、それを自分の実生活の落とし込んでいきました。
そして、念願がかない、2024年中で退職することが決定しました。
さて、退職をする際には、退職金を受け取ることができます。
退職金は、年数に応じて均等に増えていく訳ではなく、15年を超えたあたりから加速度的に増えていきます。
10年未満では数十万円しかもらえませんが、35年やると2000万円近くになります。
25年やった私の退職金も、1000万円を超えてきます。
1000万円というお金があれば、無収入の状態でも、4人家族が2年は食いつなぐことができます。
リタイヤ後、収入が途絶えるので、1000万円というお金は、その後の人生に大きな影響を与えるお金です。
そんな大事な退職金ですが、退職にはいくつかの種類があり、もらえる退職金の額も変わってきます。
退職には、
・定年退職(定年による退職)
・一般退職(自己都合による退職)
・勧奨退職(会社の都合で退職を勧められる)
の3種類があります。
定年退職は、職場の規定により定められた年齢で退職することです。
FIREは、定年よりも早く辞めることですから、一般退職、若しくは勧奨退職で辞めることになります。
退職金は、会社によって違い(そもそも退職金がない会社もある)が大きいです。
あくまで、私の採用された県の警察での退職のケースであることを、最初に申し添えておきます。
今日は、
・退職の種類ごとの退職金の比較
・一般退職金と勧奨退職金の差額を埋める方法
これらについて書いていきます。
退職金の比較
私の職場には、自分の勤続年数と退職時の基本給を入力することで、退職金を算出できるシステムがあります。
在職している職員は、自分の採用年月日と退職する日、基本給や階級などを入力することで、退職金を算出することができます。
退職を考えている人は、事前に退職金がいくらになるかの把握をしておくべきです。
定年退職
退職金計算ツールに、自分の役職と基本給を入れます。
私は巡査部長なので、役職は公安職4級となります。
基本給には、現在の基本給の38万5000円を入力します。
さらに、採用年月日と退職年月日を入力します。
退職日は仮に、令和6年3月31日と入力しました。
退職理由を選ぶ欄があり、ここでは「定年退職」とします。
退職金は、1443万円となります。
就職時の年齢は人により違いますが、定年の年齢は決まっています。(現在だと60歳)
高卒で19歳で採用されれば、41年間在職することになります。
一方、前職がある人で30歳で採用されれば、在職期間は30年です。
一般的には、在職35年を過ぎると、ほとんど退職金は変わらないと言われます。
定年退職は、途中で辞める場合(自己都合による)よりも優遇されています。
定年までやったご褒美として、自己都合退職よりも退職金の給付率が高くなっています。
仮に、同じ年数、同じ基本給、同じ役職で働いていたとしても、定年退職の方が自己都合退職よりも多くなります。
一般退職(自己都合退職)
次は、途中で辞める場合、自己都合退職について見てみます。
先ほどと同じように、採用年、退職日、階級、基本給などは同じ条件で入力します。
退職理由のところだけ変えて、一般退職を選択します。
この条件での退職金は、1242万円となります。
先ほどの定年退職と比べると、201万円も下がってしまいます。
当然ですが、FIREを目指す人は、定年退職を選ぶことはできません。
定年退職よりも減額されますが、やむを得ないこととして受け入れましょう。
勧奨退職(会社都合退職)
退職理由はもう一つあり、勧奨退職というものがあります。
民間の会社だと会社都合退職に相当するものです。
事業所である、会社なり地方自治体にも財務事情があります。
一般的に事業主は、高年齢で高額の給料を支払っている職員(仕事内容以上の給料を支払っていると思われる人)には早期に退職してもらい、若くて安い給料で働いてくれる職員を2人雇う方が得だと考えています。
だからといって、高齢年齢・高額給料の職員が何のメリットもなく、早期退職に応じるはずがありません。
高年齢職員に早期退職を促すためのエサは、退職金の増額です。
高年齢職員に対して、「早期退職してくれれば、見返りに退職金を増額しますよ。」と呼びかけるのが勧奨退職制度です。
退職金計算ツールで、退職理由を「勧奨退職」として計算してみます。
勧奨退職の場合は、定年退職と同じで1443万円になりました。
自己都合で辞める場合よりも、201万円多いです。
早期退職をする場合は、可能であるなら自己都合よりも勧奨退職を選んだ方がお得になります。
ただ、勧奨退職は、毎年募集されているわけではありません。
何年かに一度、不定期に実施されているようです。
また、勧奨退職は、それなりに長い年数をやった人しか利用できません。
勤続20年以上、または45歳以上の職員が対象とされる自治体が多いようです。
私の在職している県警でも、今年度勧奨退職が募集されました。
激アツな展開きた!と思ったら、募集退職の職員は50歳以上。
人事部に掛け合ってみましたが、勧奨退職は認められませんでした。(泣)
勧奨退職には、退職金の割り増し以外にもメリットがあります。
それは、退職後の国民健康保険料の減額です。
勧奨退職は、地方自治体の財政難などにより、職員に泣く泣く仕事を辞めてもらう制度です。
退職後は、収入が激減したり、無収入になる可能性もあります。
そのようなかわいそうな人には、退職後の健康保険料を安くしてあげましょう、という優遇措置があるわけです。
このようなことも加味すると、可能であるなら自己都合退職よりも勧奨退職で辞めた方がいいです。
勧奨退職との差額を埋める方法
自己都合退職するよりも、可能であるなら勧奨退職を利用するべきということを書いてきました。
勧奨退職の方が、自己都合退職よりも201万円退職金が多いからです。
でも、自己都合退職でも、退職時期をずらすことで、その差がほとんどないくらい埋めることができます。
自己都合退職でも最終出勤日を3月中旬、そこから年休を消化して、退職日を5月31日にすることで、勧奨退職と同じくらいの収入を得ることができます。
勧奨退職と比べて、1か月分長く勤務することになりますが、201万円の差を埋めることができます。
ポイントは、退職日を調整することで
・退職日が新年度に入ることによって、年休が20日分追加付与される。
・5月中まで在籍することによって、夏のボーナスを受け取ることができる
からです。
4月1日になると、新規に年休が付与
勧奨退職は、退職時期が決められていて、年度末の3月31日です。
この退職日は動かすことができません。
なので、もらえる給料も3月分までです。
一方、自己都合退職の場合は、退職日を職場と相談して決めることができます。
具体的な日程としては、3月中旬を最終出勤日とし、3月後半以降を年休消化し、年休消化後の5月後半を退職日とします。
3月中旬から5月後半まで、2カ月以上も年休が取れるのか疑問に思うかもしれませんが、可能です。
年休は、前年度分と今年度分、合計で最大40日まで持つことができます。
持越しは、翌年度までなので、前々年度分は切り捨てになります。
3月後半は、2022年度の年休を使用。
4月中は、2023年度の年休を使用。
5月中は、2024年度の年休を使用。
これで退職日を5月後半まで引っ張ります。
年休消化中の4月、5月にも給料は発生します。
5月1日になるとボーナスが支給
夏のボーナスは6月30日に支給されます。
ボーナスの支給要件は、6月30日まで在職していることではありません。
夏のボーナスが支給される基準日である、5月1日まで在職していると、ボーナスをもらうことができます。
夏のボーナスは、6月1日まで在職することで満額もらえます。
5月16日~5月31日まで在職することで、満額の95%をもらえます。
5月1日~5月15日まで在職することで、満額の90%をもらえます。
在職25年の私のボーナスは、100万円近いので、これの9割以上、90万円以上をもらうことができます。
退職は5月中なので、退職した1カ月後、6月30日にボーナスが振り込まれることになります。
これは少し意外な感じがしますよね。
一方、勧奨退職の場合は、3月31日で退職するので、夏のボーナスをもらう余地はありません。
差額はほとんどない
以上、年休の付与と夏のボーナス支給のメリットを合計すると、勧奨退職とはほとんど差がない状態で退職することができます。
以上、一般退職と勧奨退職の総収入を比較してみると
一般退職 1612万円
勧奨退職 1613万円
となり、ほとんど差がないことになります。
一般退職の方が、1か月間長く勤務するものの、金銭的には勧奨退職とそん色ない金額をもらって退職することができます。
損をしない退職時期については、別のブログでも書いています。
最後に
私の職場では、令和6年3月31日付で早期退職する勧奨退職希望者を募集していました。
募集対象は、50歳以上60歳までの職員だったので、私は応募できませんでした。
退職金が200万円上乗せされるのに合わせて、退職後の国民健康保険料も優遇される。
今年辞めることを決意し、かつ、勧奨退職の対象になっている人は、絶対に利用した方がお得です。
しかし、今回見てきた通り、勧奨退職の退職金増額は200万円です。
大きい金額ではあるものの、それだけで退職を決定づけるだけの金額ではないと思います。
200万円の差は、退職時期を翌年度以降に持ち越すことで、埋め合わせることができます。
年度末の3月31日を退職日とするのではなく、5月後半を退職日とするわけです。
それには、最終出勤日を3月中旬とすることによって
・新年度の年休を20日分付与される
・5月1日以降まで在籍してボーナスを受け取る
これだけで200万円の差を、ほぼ埋め合わせることができてしまいます。
結論、公務員の勧奨退職制度は、おいしい話ではあるものの、それだけを理由に退職するほどの制度ではありません。
たった1カ月、最終出勤日をずらすだけで埋め合わせられる程度のメリットだからです。
私のように、何があろうと今年度で辞めることを決意しているのなら、利用した方がいいです。
そうでもないのに、勧奨退職の退職金上乗せだけを理由に辞めない方がいいでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント
カトヒレ様
いつも楽しく拝見させていただいています。私もカトヒレ様と同業者で早期退職を考えているので、特に今回は興味深く読ませていただきました。
私の所属する組織も、期限までに早期退職を申告していれば年度末の退職で勧奨退職扱いになるようです。年休については暦年で1月からカウントされます。
退職時期について頭を悩ませていますが、私は年度末の3月末にしようと考えています。年度末にすれば組織も春の異動に反映できるので、組織的にも少しは受け入れられやすいように思います。
カトヒレ様も良いタイミングで退職できると良いですね。
ご健康とご多幸をお祈りいたします。
トンヌラさん。
コメントありがとうございます。
トンヌラさんの職場では、年休は1月からのカウントなんですね。
そして、3月末での退職を考えておられる。
私は、3月中の人事異動期まで出勤して、在職している同僚に迷惑を掛けずに、退職したいと思います。
トンヌラさんも、ご武運をお祈りいたします。
退職の申し出はいつ頃にされる予定ですか?
同じ部署の人に迷惑が掛からないよう、年明け以降に申し出をしたいと思います。
ご返信ありがとうございます。
早期退職された方の退職後の過ごし方に興味があるので、引き続きお金の話と、生活の話をして頂ければ嬉しいです。
名無しさん
退職後は時間も増えるので、退職後のお金事情や私生活の話を書いていこうと思います。
人間関係で悩んでいてgoogle検索してたところ、WEBサイトに辿り着きました。
数多くのとても有益な情報ありがとうございます😭とても勉強になります。
妻に辞めるかもと何度も相談していますが、後、数年続けて頑張ろうという励みになりました。
カトヒレ様には感謝で一杯です。
えつさん、コメントありがとうございます。
職場の人間関係は、一番重要ですよね。辛い仕事でも、周りとの関係がいいと苦痛が軽減されますからね。
ご自身の納得できるタイミングで、退職の時期を決めてくださいね。
私のブログが参考になったなら幸いです。
勧奨退職の場合、親の介護のためとかもっともらしい理由がないと駄目だったりするんでしょうか。単に「疲れたから早く辞めたい、割増退職手当をくれ」では承認されがたかったりするんでしょうか。原則は承認すべき申し出を意地悪で渋って承認しないとかは、、
、、無いかな。
勧奨退職するのに、理由は必要ないと思います。
年齢の要件だけ満たせばよいみたいです。
何年に一度か募集がありようで、45歳以上や50歳以上とされているようです。
同業、40代です。
うちの県は早期勧奨退職が50歳からなので、50歳退職を目標に頑張ろうと思ってきました。
今回のブログを拝見して、早期勧奨の割増退職金にこだわらなくていいことを知り、目からうろこでした。
異動したばかりなので、新生活が心身ともに負担が大きいと思ったら、我慢して50歳まで耐えずに卒業する決断ができそうです。
ブログを読んでいただき、ありがとうございます。
警察の勧奨退職は、退職金の割り増しがそれほど多くないですね。
民間だと、一千万円単位で上乗せということもあるようです。
数百万円の違いであれば、半年も働けば稼げるし、何が何でも勧奨で退職する必要はないかもしれませんね。