警察官25年目の給与明細。各種手当と税金・社会保険料の見方について。

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警察官の給料、税金などについて

こんにちは。カトヒレです。

 

私は、警察官を25年やって、お金を貯めてセミリタイヤしました。

10年前から目標にしてきた、「50歳までに1億円貯める。」を達成できたので退職に踏み切りました。

退職後は、1億円の資産からの収益で食べていきます。

カトヒレ
カトヒレ

1億円を年利4%で運用すれば、400万円の収益になります。それにアルバイトで100万円稼げば、年収500万円の世帯です。手取り500万円は、額面年収700万円の給与所得者に相当します。

このように、できるだけ若い時期に資産を作って、資産からの収益で生活するライフスタイルをFIREといいます。

FIREは

F、ファイナンシャル

I、インディペンデンス

R、リタイヤ

E、アーリー

これらの頭文字を略した造語です。

資産を作って、職場から経済的に自立し、早期に退職するというライフスタイルです。

FIREは、アメリカ発祥のライフスタイルで、日本でも2020年ころから認知度が上がってきました。

 

FIREするには、資産を貯める必要があるので、現職時代の給料が多い方が達成しやすいです。

私が40代でのFIREを達成できたのは、警察時代にもらっていた給料が高かったことも、大きな要因です。

給料という面では、警察官はFIREしやすい職業だと思います。

収入を把握し、支出を管理する。貯蓄できたお金を投資に回して、資産を増やす。

これを20~30年続ければ、警察官はFIREすることができます。

しかしながら、警察官は仕事が忙しいせいか、お金に関して大雑把な人が多いです。

もっとお金に関心を持てば、何年も早くリタイヤすることができるのに、もったいないと思います。

・FIREを達成したい。

・FIREとまではいかなくても、せめて老後にお金で苦労したくない。

そう考えるのであれば、まずは収入の把握が第一歩です。

 

今日は、警察官を25年勤務した私の給与明細について、その見方を記事にしてみます。

給与明細と各種手当

令和6年に入ってからの給与明細について、支給や控除などの項目を見ていきましょう。

基本給

一番上に基本給(給料)があります。

私は公安職の4級の95号という給料水準で、385,900円です。

私は、主任という役職で警察を25年間やっていて、これが基本給となります。

私の警察10年目以降の基本給や年収などの推移です。

基本給や勤続年数と役職で決まります。

できるだけ早い時期に役職を上げた方が、高い給料を長い期間受け取ることができます。

私の場合は、警察7年目に主任に昇格し、それ以降の昇格はありません。

2014年に、同期の課長(警部)の基本給を見せてもらったら、私より5万円も多くて、ビックリした記憶があります。

基本給は、ボーナスやその他手当の支給額に影響する、最も重要な項目です。

地域手当

地域手当が37,940円となっています。

地域手当とは、首都圏や都市部などの物価の高い地域に勤務する公務員に対して支給される手当です。

物価は、都市部の方が高く、地方の方が低いです。

勤務地によって生じる支出の差を埋めるために支給されます。

都会から田舎まで、1~7等級に分類されていて、1級地の方が手当も高くなります。

私の勤務地は、3級地に該当します。

それなりに都市部と見なされているということのようです。

扶養手当

扶養手当が、26500円支給されています。

これは、扶養している親族がいると支給されます。

親族とされるのは、配偶者、子、孫、父母、兄弟などで、職員に生計を維持されている人です。

子が一人につき1万円で、それ以外は6500円です。

私は、子供二人と妻が扶養の範囲なので、26500円です。

扶養手当は、パート収入などが年間130万円を超えると、途端に支給されなくなります。

また、扶養されている家族の給与収入が130万円を超えると、健康保険料や年金保険料も自分で負担することになります。

いわゆる、配偶者の所得の130万円の壁というもので、注意が必要になります。

時間外・休日・夜間手当

真ん中辺にある、時間外・休日・夜間という項目が、民間でいうところの残業代になります。

警察職員の間では、チョウキン(務手当)と呼ばれています。

この月は、111,829円でした。

基本給やその他の手当ては、自力で上げることができないので、短期的に給料を増やすには超勤を増やすしかありません。

仕事で成果を出した、若しくは長時間労働をした場合に、報いてくれる成果が超勤というわけです。

しかし、この超勤が全く予測できないのがガッカリなところです。

この月の私の超勤は11万円台でしたが、同じような業務内容や残業時間でも、2~3万円という月もあります。

なので、超勤が多い月と少ない月で、手取り額が月に5万円以上変わるということもザラです。

警察官が給与支給日に、超勤の金額だけを見て一喜一憂するのは、警察アルアルです。

日額特殊勤務手当

日額特殊勤務手当というのは、危険手当のようなものです。

緊急走行中のパトカーは、法定速度以上の速度で走り、赤信号にも侵入するので、事故のリスクが高いです。

腐敗が進んだ、ご遺体の取り扱いは、病原菌をもらうリスクがあります。

高速道路での事故処理は、後続車にはねられる危険性があります。

犯人の制圧時に、相手から手を噛まれて、負傷した同僚もいます。

特殊勤務手当は、危険な仕事につきもののリスクに対する手当です。

交番で勤務していると、15,000円くらいの月が多いです。

本部や警察署内での事務仕事になると、この手当がなくなります。

住居手当

住居手当が26,500円支給されています。

私は、民間の戸建賃貸住宅に住んでいます。

家賃は共益費込みで62,000円なので、住居手当を差し引くと、自己負担は3万5千円くらいです。

住宅手当を受けることができるので、持ち家を買おうとは思いませんね。

年間にすると、住居手当は30万円以上になります。

以前、同僚が親が保有するマンションに居住して、住居手当をもらっているという話を聞いたことがあります。

親所有の住宅であっても、賃貸借契約を結んで、適正な額の家賃を払っていれば、住居手当がもらえるようです。

金銭的には最強の方法だと思います。

ただ、不正があると懲戒処分されるので、適正にやる必要があります。

総支給額

総支給額(額面給与のこと)は61万円台となりました。

これが給料の総支給額ですが、ここから社会保険料や税金などが控除されます。

その他、職場で借りてる駐車場代や、互助会費、職場で加入することができる団体保険の保険料なども差し引かれます。

控除後に、銀行に振り込まれるお金が手取り額となります。

この月の手取り額は、45万円台です。

総支給額から約15万円も引かれてしまうんですね。( ;∀;)

次は、額面の給与から引かれる項目について見ていきましょう。

控除項目について

控除とは、額面の給料から差し引かれる金額です。

私の給料明細の控除項目を記載しました。

黄色の部分は、税金や社会保険料なので、基本的には自分でコントロールすることができない項目です。

青色の部分は、財形年金や職場で加入する団体保険や自動車保険です。

たくさんの保険に入っている人は、ここの項目の金額が大きくなります。

私は、自動車保険以外は入っていないので、スリムな金額になっています。

それぞれの項目を確認していきましょう。

共済短期掛金

一番上の共済短期掛金というのは、健康保険料のことです。

病院に行って、自己負担が医療費の3割で済むのは、健康保険のおかげです。

この月は、24,915円となっています。

健康保険料は、給料が多いほど引かれる金額も上がります。

健康保険料の計算のベースになるのは、標準報酬月額というものです。

私の報酬標準月額は59万円です。

この数字に共済短期掛金の料率を掛けた金額が、自己負担になります。

健康保険料は、基本的に標準報酬月額に10%を掛けた金額を、事業所と個人が半分半分で負担します。

でも、福利厚生が優れた職場だと、事業所の方が多く負担してくれることもあります。

警察の福利厚生は、大企業レベルなので、個人は半分よりも少ない負担で加入することができます。

59万円の10%、さらにその半分は28,000円ですが、それよりも少ない金額で済んでいるのが確認できます。

警察の健康保険は、個人にとっては、大分優遇されているわけです。

因みに、健康保険料はたくさん収めたからといって、受けられるサービスに違いはありません。

次に出てくる共済長期掛金(厚生・退職)も、標準報酬月額を元に算出されますが、こちらはたくさん収めたほど、将来の年金額が増える仕組みになっています。

共済長期掛金

次の共済長期掛金(厚生・退職)というのは、厚生年金のことです。

共済長期掛金も、給料が高いほど多くの掛け金を支払うことになります。

掛金の基準になるのは、標準報酬月額です。

53,985円ですが、これは先ほどの健康保険料と違い、たくさん納めればその分だけ自分の将来の年金額に反映されます。

たくさん保険料を納めれば、その分だけ年金が増えるので、収め損にはならない仕組みになっています。

毎年送られてくる年金定期便には、自分がこれまで収めてきた年金保険料の総額が記載されています。

厚生年金保険料(被保険者負担額)は、私が共済長期掛金として、25年間納めてきた金額の総計です。

これまでに、1153万円収めてきたことになります。

これが将来の年金額に反映されるわけです。

この金額が大きいほど、将来もらえる年金の額も多くなります。

毎月5万円以上の高い保険料を払っていますが、掛け捨てになっているわけではないということですね。

 

もう一つの共済長期掛金(退職)では、4425円が引かれています。

公務員は、3階建ての年金制度と言われます。

1階が国民年金

2階が厚生年金

3階が公務員の職域加算

3階部分は、大企業などに採用されている、企業年金の公務員バージョンです。

退職等年金給付という名称になっています。

年金定期便と似たような通知書が年一回届きます。

それには、自分の納めた年金額と、それまでの累積の年金額が記載されています。

納付した年金のうち、事業所と自分が半分半分で負担します。

介護保険料

介護保険掛金は、40歳以上になると負担することになります。

私の場合5,180円です。

介護保険制度は2000年に始まった制度ですが、保険料と給付額は右肩上がりです。

当初3兆円だった給付額が、今は10兆円を大きく超えています。

少子高齢化の影響で、税金や保険料を納める若い世代の人口は減る一方、医療介護サービスを受ける高齢者の人口は増加し続けています。

今後、保険料負担が引き上げられたり、40歳以下の人も負担することになる可能性は高いでしょう。

 

健康保険、年金保険、介護保険などを総称して社会保険と呼びます。

社会保険料は、2000年以降急激に上昇しています。

現在の社会保険料は、15%です。

額面の年収のうち、15%が社会保険料として徴収されています。

2000年ころまでは、11%台だったのですが、急激に伸びているのが分かると思います。

所得税

所得税が32,520円となっています。

毎月の給料から引かれる所得税は、見込み額を前払いしています。

ボーナスを含めて、この人の年収はこのくらいになりそうだから、その見込み額に応じた所得税を徴収する、という仕組みになっています。

月収60万円の給料を12か月間もらい続けるという前提で、32,520円の所得税が引かれています。

私は2024年中に警察を退職するので、年収がガクンと下がります。

この年の年収は、半分くらいになると思います。

そうすると、2024年の途中まで収めた所得税は、払い過ぎになります。

払い過ぎた所得税を還付してもらうため、2025年3月に確定申告を行うことになります。

住民税

住民税は、27,200円です。

先ほどの所得税と違い、住民税は後払いの税金です。

2023年の収入に対する住民税を、2024年6月から2025年5月までの期間に分割して支払うことになります。

私の2023年中の年収は909万円です。

その収入に対する住民税を、退職後の2024年6月から支払うことになります。

無収入なのに、毎月3万円近い住民税を1年間支払うわけです。

貯金を持たずに退職すると、その後の高い住民税に苦しめられることになります。

 

さて、私の本来の住民税は、月額38,000円くらいです。

1万円以上安くなっている理由は、ふるさと納税をしているからです。

年間で13万円やっているので、その分の住民税が安くなっています。

ふるさと納税は、本来後払いの住民税を、先に支払う仕組みです。

先払いすることで、納税額の3割相当のお礼の品を受け取れる制度です。

2023年中に13万円ふるさと納税しているので、2024年6月から支払う住民税が安くなる仕組みです。

ふるさと納税は、かなりお得な制度なので、最大限活用するべきです。

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公務員でもできる節税策としては、イデコもお得です。

月額12,000円を自分の年金として掛けることで、節税効果が3~4万円くらい見込めます。

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最後に

自分の給与明細をじっくりと読み込んでいる人は、ほとんどいないと思います。

見たところで数字が変わるわけではないので、超勤(残業代)を見ただけで終わりにしてしまう人がほとんどだと思います。

そうであっても、給与明細は、せめて捨てずにとっておきましょう。

ふとしたきっかけで、税金や社会保険料に興味を持った時、自分の給与明細は最高の教材になるからです。

自分の稼いだお金のことなので、何故こういう計算になるのかということに、興味が強まります。

本や参考書にはない、生きたお金の動きが、自分の給与明細にはあります。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. 英雄 より:

    普段あまり知ることのない警察勤務の実態を垣間見れました。警察のお仕事お疲れ様です。交番に警察官がいるという状況が、治安に与える影響は絶大です。

    • katohire katohire より:

      英雄さん。

      交番勤務に対するお気遣いの言葉、痛み入ります。!(^^)!

      交番勤務はストレスフル、深夜業務で食事と睡眠が不規則というのがつらいですね。

      給料は十分なので、不満は全くないですが、定年までやりたいとは思わないです”(-“”-)”

  2. ただくに より:

    「緊急走行中のパトカーは、一般道を時速100キロ超で走ることもあるので、事故った場合は、命がヤバいです。」とありますが、速度制限とかなかったんでしたっけ???

    • katohire katohire より:

      ググると、一般道の緊急走行は80km制限とありますね。
      また、速度取り締まり中の走行には速度制限なしとあります。

      一度だけ、速度取り締まりのパトカーに同乗したのですが、ヤバい速度でした( ;∀;)

      • ただくに より:

        一番最初に習いそうな雰囲気がしますが、その辺知らなくても問題ないんですね。意外でした。

  3. やすまさ より:

    超過勤務手当のばらつきが大きいということですが、交番勤務の超過勤務手当は本部や警察署勤務よりも平均して多いですか?

    • katohire katohire より:

      やすまささん。
      交番勤務の超過勤務は、警察署の専務警察と比べると多くはないです。
      実際に、それほど残業時間も多くはないので、妥当なところだと思います。
      本部は、部署にもよりますが、定時で帰れるところは、まったく超過勤務がつかないところもあります。
      定時で帰っているので、当然なんですが、手当ありきで住宅ローンを組んでしまうと、厳しいみたいですね。

  4. しなの より:

    ちょうど、今日4月分の明細が出たので、今までしっかり見たことがなかったのですが、こちらのブログと見比べながら確認いたしました。ほぼ中身同じ笑(階級、年数など、、)カトヒレさんの将来が、非常に非常に興味深く、参考になります!

    • katohire katohire より:

      しなのさん。

      ブログを参考にしていただき、ありがとうございます。
      将来、警察を早期退職したことを後悔しないように、生きていきたいです。

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