警察官のセミリタイヤ。早期退職することで放棄するものと、得られるものについて。

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警察官のセミリタイヤについて

こんにちは、カトヒレです。

 

私は、25年続けてきた警察の仕事を、今年中に退職します。

退職したいと考えた最大の理由。

それは、この仕事を頑張って、成果を出すことに価値を感じなくなったからです。

仕事を頑張って成果を出すことで

・組織や同僚から評価されることに充実を感じる

・より難易度の高い仕事にチャレンジする意欲が湧く

・つらくても、自分の仕事が社会貢献になっているという自信を持てる

このようなことに、熱意を持てなくなってしまいました。

だから、できるだけ暇な部署で、目立たず、怒られず、人並みに仕事をこなせればそれでいい。

退職を意識する何年も前から、このような考え方になっていました。

向上心に乏しく、完全に受け身の姿勢です。

このような姿勢で仕事をしている限り、仕事で充実感を得ることはないでしょう。

退職までの残りの年数、消化試合のように仕事をこなすだけの自分の未来を確信してしまったわけです。

 

そんな悶々とした状態で何年か仕事を続けていたところ、定年まで働く以外の選択肢があることに気が付きました。

それは、早い時期に多くのお金を貯めてしまえば、定年よりも早く仕事を辞めるという選択肢です。

具体的な考え方のステップは、

・警察官は、お金を貯めやすい職業で、本気になれば年間300万円くらい貯められる。

・今あるお金と、毎年貯められる300万円を投資に回していく。

・それを10年続けられれば、50歳までに1億円近くになるだろう。

・1億円の資産からは、毎年400万円の資産収入が得られる。

・年間400万円の収益があれば、年間の生活費をほぼ賄える。

・足りない分はバイトでもすれば何とかなるだろう。

こんなことを考えるようになりました。

当時、そのような考え方は、書籍やネットにも見かけたことはなかったのですが、今では広く知られているFIREという生き方です。

そして、FIREを達成するための貯蓄と投資を10年間継続してきて、目標となる資産額に到達したので、今年中での退職を決めたわけです。

 

目標の資産額に達したからといって、ためらいなく退職を決断できたわけではありません。

退職した後は、収入源がなくなるわけですから、お金の不安が完全になくなることはありません。

不安を抱えながらも、退職を決断しました。

警察官という恵まれた待遇を、自分から放棄するわけですからね。

退職は、引き返すことができない片道切符です。

仕事を辞めた後に「あ~やっぱり辞めるんじゃなかったよー」と思っても、元に戻ることはできません。

仕事を辞めると、警察官ではなくなり、失うものがあります。

反面、仕事を辞めることで、得られるものもあります。

 

今日は、警察を早期退職して放棄するものと得られるものについて、書いていきたいと思います。

早期リタイヤで放棄するもの

早期退職で放棄する給料

警察を退職すると、その後は警察官の給料を受け取れません。

定年までにもらえる給料の合計はいくらになるでしょうか。

私は、60歳まであと10年ちょっとあります。

令和5年の年収は909万円でした。

警察官は、52~53歳まで定期昇給が続きます。

60歳まで警察をやった場合、平均年収は900万円以上になります。

あと10年間900万円の給料をもらえるとして計算すると、

900万円×10年=9000万円

となります。

退職後に、時給1000円のアルバイトで、年間100万円を稼いだ場合は

100万円×10年=1000万円

なので、差額は8000万円になります。

警察を辞めると、8000万円の給料を放棄することになります。

厚生年金が少なくなる

公務員や会社員として働くことで、毎月の給料から厚生年金保険料を納めています。

警察官の給与明細では、共済長期掛金(厚生)という項目で引かれるのが、厚生年金の掛け金です。

ものすごくザックリですが、警察官を定年までやると、老後にもらえる年金は年額210万円くらいです。

老齢基礎年金=80万円

老齢厚生年金=130万円

合わせて、210万円です。

現時点での私の年金定期便を見てみると

老齢厚生年金は85万6千円です。

警察を退職して、セミリタイヤ生活に入ると、老齢厚生年金は85万6千円で頭打ちです。

定年までやれば、130万円になるのに、その権利を放棄することになります。

老後の年金の差額は、年間45万円です。

早期退職をする場合は、定年まで警察をやる人と比べて、年金が少なくなることは覚悟しておきましょう。

社会保険が不利になる

公務員や会社員などで働いていると、社会保険料は、会社と半分半分で負担するのがルールになっています。

社会保険料とは、年金保険料と健康保険料のことです。

社会保険料は高額で、私の年収だと、年間で120万円くらい支払っています。

これだけの額を払っているものの、本来ならこれの倍の額を支払うことになっています。

自分の勤務する事業所が、同額の120万円を納めてくれます。

事業所から、補助をもらっていると言ってもいいでしょう。

 

退職すると、自営業者と同じ社会保険制度に加入することになります。

国民健康保険、国民年金保険に加入することになります。

これらには、同居する配偶者や家族を扶養するという考え方がありません。

国民健康保険では、同居する家族が増えるほど、健康保険料は増えます。

国民年金保険では、配偶者の保険料免除である、3号被保険者にはなれません。

 

警察を退職すると、社会保険制度は、確実に不利になります。

社会的信用が低くなる

50歳でアルバイトの人と、警察官の人、どちらが社会的な信用が高いでしょうか。

人格などは別として、経済的な信用度が高いのは、間違いなく警察官でしょう。

警察官は収入も多く、クビになる確率も低いので、多額のローンを組むことも可能です。

住宅ローンであれば、5000万円くらいは問題なく借りることができます。

住宅を借りる際や、クレジットカードを作る時にも審査がありますが、警察官の信用度で落ちることはあり得ません。

仕事をやめて、アルバイト生活に入ると、経済的な信用度が下がるのは覚悟する必要がありますね。

 

また、家族や親族でも、世間体を気にする人はいるでしょう。

お父さんが、無職やアルバイトなんて、恥ずかしい言われることもあるでしょう。

無職になることで、配偶者の親がいい顔をしなくなる可能性も高いと思います。

「無職の男に、うちの娘を嫁がせたつもりはない!」となりますよね。

家の近所の自治会や、学校PTAなどのライトな人間関係でも、無職よりも警察の方が信用が高いと思います。

カトヒレ
カトヒレ

私は、駐在所勤務時代に小学校のPTA会長をやったのですが、職業的な信頼感はあったと思います。警察官なら、少なくとも変な人はいないだろうという。

学校側も、無職の40代の人を、PTA会長にしたいとは思わないでしょう。

アイデンティティ、コミュミティの喪失

仕事を辞めることで、所属するコミュニティと、そこでの人間関係を失うことになります。

警察というコミュニティに属するからこそ、維持される人間関係があります。

同じコミュニティに属していると、あまり面識のない人が主催する合コンに呼んでもらえたりします。

忘年会などに出席しなければならないという、煩わしい面もありますが、同じコミュニティだからこそ、維持される人間関係があります。

同じ部署だからこそ呼ばれる飲み会や、同期会などには、退職すると呼ばれることはなくなると思います。

 

そして、きちんと仕事をしていると、世の中に貢献しているという自信を持ちやすくなります。

警察職員として、法と秩序を守ることを仕事をしているというプライドも持てます。

社会や自分の周りの人の役に立っているという自信は、アイデンティティとなります。

退職すると、自分は何者であるというアイデンティティを自分で見つけなければなりません。

自己紹介をする際、「私は○○をしています。」と言います。

現役世代の場合、○○には職業を入れる人がほとんどだと思います。

セミリタイヤした場合、自分のアイデンティティを、職業以外のものに絞っていくことが必要になりそうです。

早期退職で、手に入るもの

退職することで、1億円近い給料や、社会的信用などを放棄することになります。

その代わりに得られるものは、

若い時期の自由な時間
やりたくないことをやらなくていい権利
やってみたいことに挑戦できる

ということです。

若い時期に自由な時間を得る

早期退職すると、自分の自由な時間が増えます。

多くの人は、定年まで働いて仕事を辞めて引退します。

その時期は、60~65歳ころです。

日本人の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳くらいです。

一方、健康的に活動することができる健康寿命は、これよりも下になります。

健康寿命は、男性72歳、女性74歳とされています。

あくまで平均の年齢ですが、この年齢を超えると、日常生活に健康上の理由で、何らかの制限が生じることになります。

歩行能力に支障があれば、杖、シニアカー、車いすの世話になるかもしれません。

内臓に疾患があれば、酒、焼き肉、ラーメンなどは食べられないでしょう。

肉体や感性、気力などのピークは、20代です。

それ以降、身体はどんどん衰えていきます。

私自身、30代、40代と年を重ねるにつれて、徐々に体力が衰えてきているのを感じます。

そして、50代、60代は、さらに速いスピードで衰えていくことを覚悟しています。

そう考えると、若い時期の時間と、高齢期の時間の価値は、同じではないと思います。

カトヒレ
カトヒレ

若い時期に、自分の自由に使える時間を増やすことは、十分意義のあることだと思います。

セミリタイヤで得られる最大の効用は、若い時期の自由時間を増やせるということです。

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やりたくないことをやらない権利

自分がやりたくないことをやらない権利も、大事だと思います。

自分が合わない職場環境や人間関係で仕事をするのは、本当にツラいと思います。

合わない職場で働くと、人は数カ月も持たずに壊れてしまいます。

うつ病などになると、治癒するのに数年かかる人もいます。

自分がやりたくないことをやり続ける人生ほど、もったいない人生はありません。

人生の時間は有限です。

20歳から60歳という人生のゴールデンタイムのほとんどを、やりたくないことに費やすということは、あまりにも馬鹿らしいことです。

恋愛、エンタメ、食事、スポーツ、知的好奇心など、これらを最大限楽しめるのは、人生のゴールデンタイムです。

ゴールデンタイムをやりたくないことで埋め尽くす人生って、どうなんでしょうかね。

セミリタイヤしていれば、自分のやりたくないことを一切やる必要はありません。

自分の嫌いな上司のご機嫌を取る必要はないし、やりたくない仕事を断ることもできます。

やりたくないことをやらなくてもいい権利を得るというのも、セミリタイヤの効用の一つだと思います。

やってみたいことに挑戦できる

自分の自由な時間があれば、出来ることが在職中に比べて広がります。

本を読む、勉強をする、子供と遊ぶ、スポーツをする、ブログを毎日更新する、ユーチューブを始める、映画を観る、ゲームをする、新しい人間関係を作る、料理を覚える

時間があるので、いろんなことが出来ると思います。

多趣味で好奇心旺盛な人ほど、セミリタイヤには向いていると思いますね。

そして、上記の趣味に留まることなく、好きなことを仕事にしてしまうのがいいと思います。

自分が好きで得意なことで世の中に価値を提供して、人に感謝されて対価を受け取るというのが一番理想的な事なんだろうと思います。

一言でいうと、天職を見つけるということですね。

天職を見つけて生計を立てるというと、中二病っぽく聞こえるかもしれません。

しかし、セミリタイヤできるだけの経済的な余裕があれば、多くの収入は必要ありません。

年収100万円の仕事でも、自分が楽しくて、長時間やっても苦にならないことを見つけられれば強いと思いますね。

好きな仕事で年収500万円稼ぐのは難しくても、年収100万円なら難易度はグッと下がります。

私自身は、FP業務を通じて、年収100万円くらい稼げれば理想ですね。

最後に

警察を早期退職することで、失うものと、得られるものについて書いてきました。

早期退職することによって、

・安定していて高い給料

・老後の不安を打ち消せる年金額

・家族を扶養できる社会保険制度

・社会的信用とアイデンティティ

これらを失う代わりに、

・若い時期の自由時間

・やりたくないことをやらなくていい権利

・やりたいことに挑戦できる

これらを得ることができます。

 

このようなことを考える私は、かなりの変わり種であることを自覚しています。

でも、私の考えに賛同してくれる人も少なからずいます。

みんなが同じような価値観にあるべきだという雰囲気に、違和感を感じているのだと思います。

警察は、一度就職したら定年まで働くべきであって、途中で辞める者は脱落者である。

警察では、そのような価値観が支配的で、そこから逸脱するような生き方は、眉をひそめられます。

警察もそうですが、日本って同調圧力が強いと思います。

 

日本はとても豊かな国です。

月収15万円あれば、健康的な食事が取れるし、雨風を凌げるアパート暮らしができます。

自炊して、自転車生活、格安SIM、安アパート生活なら、月収15万円でも全然いけると思います。

みんな、世間並みであるべきという姿に縛られすぎだと思います。

結婚するべき

子供を持つべき

正社員であるべき

家を買うべき

保険に入るべき

新車に乗るべき

こういう、世の中が求める姿になろうとして、自分には重すぎるものを背負い過ぎています。

重すぎるものを背負うことで、自分の人生をやりたくないこと費やしている人が多いと思います。

 

沈没船ジョークをご存知でしょうか?

日本人の国民性として、他の人の行動に強い影響を受けるらしいです。

周りの人と同じことをしていれば、とりあえず安心するということでしょう。

しかし、自分の人生の責任を取るのは、他人ではなくて自分です。

世の中が求める、こうあるべきという姿になろうとして、自分が望まない重荷を背負っても、だれも責任取ってくれないですからね。

警察の早期退職は、周りのみんなとは違う行動です。

将来のことは誰もわからないので、私の早期退職は、悲惨な結果になるかもしれません。

でも、そうなっても多分後悔はしません。

なぜなら、早期退職は、私が自主的に選んだ行動だからです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

  1. にゃん より:

    初コメント失礼します。私も35歳で警察官をしており、ブログを読んでカトヒレさんに共感をもちました。ちなみに私は、昨年1年かけてFP2級と日商簿記2級を取得しました。資格の勉強にハマってしまい、現在は宅建士の取得に向けて勉強中です。
    職場は給料が安定してるせいかお金に無頓着な人ばかりです。私はYouTubeでお金について学び、ネット証券で2000万円程度運用中ですが、投資はダメだとか、貯金額を申告しろだとか言われ、みんなと同じ保険にとりあえず入っておけといった風潮が気に入らなくて、自らFP資格を取得して周囲から文句を言わせないようにしました。
    仕事内容は嫌いではありませんが、勤務環境が悪く、長時間労働や不当に休みを取れないことが多くあります。今は幸い、忙しくない職場で勤務しているのでこのタイミングで転職の準備をしていきたいなと考えています。この仕事を13年やってみて良い所、悪い所がだいぶ分かってきたつもりです。仕事について効率や利便性を追求すると閉鎖的で堅い組織が邪魔をしてきます。公務員なのでやる気がなくてもダラダラと続けられていますが自由を求めていつか辞めてやるという気持ちで日々過ごしています。セミリタイア目指していらっしゃるとのことで色々参考にさせてください。

    • katohire katohire より:

      にゃんさん。
      コメントありがとうございます。
      警察をやりながら、FPや簿記の資格を持ってるんですね。
      警察は待遇が恵まれているので、お金に無頓着になる人が多い印象がありますね。
      お金の勉強をして、節約や運用をすれば、準富裕層くらいにはなれるはずなんですけどね。

      13年間警察をやってきて、転職も考えてるんですね。
      お金の面では、警察を続けるのがベストだと思いますが、辞めることで得られる自由にも価値があります。
      お金と自由のバランスが難しいところだと思いますが、決定権は自分で持っておきたいと思います。
      ブログはマイペースで続けていくので、たまに見に来てください。

  2. より:

    リピーターです

    セミリタイヤ家族持ちで、3、4年経過しました
    子供は小中高の三人です

    非常勤の警察職員なんてどうですか?
    職種は違いますが私はそうしました

    家族にも相談せず事後報告でリタイヤしましたが
    夫婦円満で暮らしています

    どうにでもなるもんです
    自身の気持ちひとつで 

    • katohire katohire より:

      みさん。
      子供3人で、警察セミリタイヤするなんてすごいですね。
      非常勤の警察職員、今まで考えたこともなかったです。
      非常勤だと、定年後の交番相談員くらいしか思いつきませんが、他にどんな職種があるのか調べてみようと思います。
      セミリタイヤは、人と比べる価値観ではないと思うので、自分で納得できる道を選びたいと思います。

    • 匿名 より:

      私もFire後の年金が年30万ほど少くなるのですが、その範囲内で生活出来る予定ですので、お金で時間を買うという感じです。
      色んな事が混じり合っていますが、自分がどうしたいのかを最優先にして行きたいと思います。
      ブログ楽しみにしてます😊

  3. えつ より:

    神奈川県の同志です。
    私も今の職場に不満を抱え、貴方のブログに救われている者の1人です。
    主様ほど思慮深く、行動力のある方なら、早期退職しても決して問題無いと確信しています。新しい生き甲斐を見つけられることでしょう。
    私も金が貯まればやめます。
    私はあなたの後輩ですが、応援しています。
    最後に有益なブログをありがとうございます!

    • katohire katohire より:

      えつさん。
      ブログを読んで下さりありがとうございます。

      私も、リタイヤ生活は初めてなので、不安に感じる部分もあります。
      でも、いろんな人が応援してくれるので、前向きに考えていきたいと思います。
      ブログ、引き続き更新していくので、よろしくお願いいたします。

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